前田裕二さん―

昨年取材をさせて頂いた著名人で心に残った人の一人です。日本の実業家で、仮想ライブ空間を運営するSHOWROOMの社長であり、コメンテーターとしてもメディアに引っ張りだこ。出版する本は常に話題で、世界最古のマネジメント誌『ハーバードビジネスレビュー 未来を作るU-49経営者20人』に選出された、まさに時代の寵児です。

 そんな彼が出した話題の本『メモの魔力』(幻冬舎)をご存知ですか?2019年に最も売れたビジネス書で、Wikipedia情報によると、このコラムを書いている、20206月初旬現在、累計発行部数、50万部。5万部売れたらヒットとされているビジネス書。その数字だけで、彼のこの本がいかにすごいかということが伝わるでしょう。ちなみに目標は100万部らしいです。私も取材をさせて頂くことをきっかけに拝読しました。
 
 本の内容は、メモ魔である前田さんのメモのとり方について詳しく書かれているのですが、要約すると前田さんにとってのメモは、記録ではなく、知的生産のためのものなのだとか。この本には、ただのメモがそうなるための方法がぎっしりと書かれています。それはそれは本当に役に立つ内容で、一種の技術とも言えそうなこのテクニックを自分のものにするためには、メモをしたことについてきちんと向きあっていかなくてはなりません。普通の人であれば、習得するのにそれなりの日数が必要な気がします。ちなみに、多分、
THE普通の人である私にはけっこうなハードルの高さでした。


 そもそも、なぜこの本を読んだかというと、雑誌
JJで、前田裕二さんに就職活動の際に必要な、自己分析の方法についてご指導を頂くため。自己分析をする際に、彼のメモの取り方がすごく役に立つというわけです。

 就職活動の最初のステップは、企業に提出する応募書類の一つ、エントリーシートを書くこと。この通称ESと呼ばれている書類は、大手企業などでは選考の第一段階として使われることが多いのですが、そこにはいくつかの質問があるのが一般的。あなたの長所は?とかあなたが学生時代にもっとも頑張ったことを教えて下さいなど、企業によってその内容はさまざまですが、ここは自分のアピールポイントを伝える部分。つまり「この人と会って話しをしてみたい」と思わせるようにかくことが大切なのです。

 たいていの場合は、「私の長所は聞き上手なこと面倒見の良さです。バイト先の後輩が悩んでいたら、しっかり話しを聞いてあげます」というような、当たり障りがなく、優等生でいいコなことを書く学生がたくさん。たしかに何のつっかかりもなくて、きれいですが、この文章では、この人がどんな人なのか、きちんと伝わってこないですよね。いいコそうだけど、そのコにこだわることがないとでも言いましょうか。私が聞いても企業側にこの人に会いたいと思ってもらえる可能性は低いかもと感じてしまいます。

 膨大なエントリーシートを読んだときにひっかかるのは、どんな人物かがわかって、大げさかもしれないけれど、他に渡したくないくらい魅力的なコ。その子にしかない何かがあるコ。前田さん曰く、そう思わせるには、とにかく印象的な具体例があって、情景が思い浮かぶようなものである必要があるとのこと。そんな風に書けるようにするためには、そもそも自分の長所は何なのかをきちんと知ることが鍵になります。それがわかれば、その強みに紐づくエピソードがたくさん出て来て、具体的でその光景がはっきりと浮かぶようなことをESに書けるということです。

 それを前田さんは〝自分のCANを導き出すこと〟と表現しています。〝CAN〟とは、つまり自分の長所や強み、ユニーク性(人と異なっているところ)を意味しています。これをESを書く準備段階で見つけておくことで、面接でも自分の良さを存分にアピールできるというわけです。しかも本当に強みなわけですから、そこに無理や嘘は一切ありません。先ほど触れさせて頂いた『メモの魔力』(幻冬舎)で紹介されている前田さん流のメモの取り方を活用することで、自分の〝CAN〟がわかってくるのです。すっかりいい大人な私が取り入れても、アイディアを生み出せるようになったり(知的生産性の向上)、情報を素通りしなくなったり(情報獲得の伝導率向上)など前田さんのメモ術を通して鍛えられることがたくさんあります。ちなみにこのメモの取り方をすると合計で5つのスキルが鍛えられるようになるので、気になる方はぜひ読んでみて下さい。


 さて、この〝
CAN〟の話し、骨格診断にも通じるなと思うのです。私は生まれ持った身体の特徴こそ〝CAN〟であると思います。ストレートタイプにはストレートタイプの良さが、ウェーブタイプにはウェーブタイプの良さ、ナチュラルタイプにはナチュラルタイプの良さがあります。自分以外の素敵な誰かになろうとするとどこかで辛さが出てくるのと同じで、他の骨格タイプの方が似合うものを着ようとすると、どこか無理をしている感じが出たり、ちぐはぐな印象になったり、どこかにほころびがでるもの。そもそも、自分の強みを知らないことで、そもそも似合わない服やヘアメイクをして、損をしている場合もある。そうではなくて、自分の得意なこと、苦手なことを知り、それを受け入れ、長所を伸ばしていく。するとそれがその人の更なる強みになり、その人にしかない魅力を発揮する。だからこそその人は貴重な存在になり、キラキラ輝きはじめるのだと思います。もちろん、余力があるのであれば、それを実践した上で、苦手なところを補う工夫や努力をするのもいいかもしれないけれど。


 そもそも、「似合う服やヘアメイクがいまいちわからない」方へのわかりやすい解答を教えてくれるのが骨格診断メソッドです。どの骨格にも「いいな」と思うところがあります。

 人よりちょっと気が多いストレートタイプの私は、いろいろなテイストのファッションを楽しみたいタイプで、根がミーハーだから、トレンドものを取り入れるのも大好き。だから、自分が着たい服であれば、骨格タイプ的には全然似合わないものにも手を伸ばしがちです。数年前にオフショルトップスが大流行したときは、ウェーブタイプに憧れました。着たいけれど、華奢な上半身でなければ似合わないアイテム。「私が着たら、昭和初期のポスターに出てきそうな、むっちりとした女性みたいになりそう…」と思い、結果諦めました。まだまだあります。ほっそりとした指にきらりと輝く繊細なリングを見ては、私の指は何故ぼってりしているのかと悲しい気持ちになったり。繊細なリングはやっぱり白魚のような手の持ち主、ウェーブタイプにこそ似合うんです。もちろん、ナチュラルタイプの人にも憧れます。ここ最近はずっとカジュアルが主流だから、ナチュラル体型にハマるものが多め。メンズサイズのカットソーにゆるりとしたパンツを合わせて颯爽と歩いている彼女ちは、本当にこなれていて羨ましい!

 けれど、トラッドなスタイルが好きな私は、ジャケットがけっこう似合ったりするのはお気に入りだし、カジュアルもきちんと感のある服もバランス良く着れて、どちらのテイストも楽しめるストレート体型ってなかなかいい、なんて思って嬉しくなることだってある。

 きっとみんなそれぞれ、悩みを抱えているんだと思う。だから、自分の持って生まれた〝CAN〟を大切にしたいと思うし、まずはそこを磨いていったほうが幸せになれると思うのです。だって、どうしたってあるもので勝負していくしかないのだから。とりあえず、ないものねだりをやめてみませんか。自分の長所をもっともっと活かしましょう。きっともっと魅力的な人になると思うから。

前田さん流のメモの取り方を実践するべく、新年に新しいノートとペンを用意しました。まずは気になることをすべてメモする習慣をつけるようにしたいもの。自分のことを愛するきっかけが見つかるはずだから。

 

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棚田朋子

神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟

光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。