目はぱっちりとしていて、大きく、アーモンド型、鼻はスッと高くて、あごはキュッとしたVライン。唇は薄くてもぷっくりしていてもどちらでもいいけれど、ぽってりしているとなんだか色っぽいし、薄ければそれはそれで凛としていて良い。どちらにしても、口角はキュッと上向き。俗に言う美人や可愛いコというのはこういう顔でしょうか。そんなコのことは誰もが放っておきません。ついついちやほやしてしまう。女のコって、男のコよりも比べて育てられがちだから、20代まではとくに、そんなコが得をしているように見えるかも。

 そういう恵まれた人は、あまり頑張りません。もちろん、頑張っているように見えないだけなのかもしれません。美人って、どこかひょうひょうとしているように見えたりするから。とはいえ、ごくたまに、飛び抜けて美しいのにとてつもない努力をする人もいます、たとえば、女優さんとか。そういう人はさておき、一般の世界であれば、何もしなくても“可愛いから”で乗り切れたりするし、求められる。さらに太りにくい体質だったりしたら、もっと気にしないでしょう。だって太らないのだもの。コンプレックスが少ないから、頑張る必要がないんです。少し前の時代であれば、お金持ちの男性に見初められて、さらりと結婚をしているというところでしょうか。

 一方でルックスだけでは勝負ができない人。年頃になると、どうしたら可愛くなれるか、素敵になれるかを日々研究し、ときには過酷なダイエットをし、美容雑誌を読み込み、可愛く見える服を研究し、すっぴんに自信はないけれど、ヘアメイクを施せば、“美人っぽい”雰囲気が出るように…。こうやって、きちんと自分と向き合い、努力をし、美しくなる方法を知識として蓄えてきた方、お待たせしました。40代、いや早ければ、20代後半からはあなた方が輝きます。

 私が今回、声を大にしてお伝えしたいのは、年齢を重ねると、天然美人と雰囲気美人とでは後者のほうがどうやら幸福度が高いということ。もちろん、元々美人なのに、きちんと努力してきた人はまた話しが違いますが、顔立ちは綺麗だけれど、何もしてこなかった人と、自分を素敵に演出するファッションやメイクを勉強し、清潔感や品、知性を備えた所謂“雰囲気美人”とだったら、そちらのほうに分があるということです。

 私はファッション雑誌のライターという職業柄、多くの美人に出会いますし、常に美人を探しています。たとえば、読者モデルを探すとき。20代がターゲットの雑誌では、多くの場合、天然美人でかつお洒落なコが求められます。携わっている媒体がファッション誌なので、基本的にはこの“お洒落”でしかもモノ持ちがいいことも大切なのですが、お洒落ではなくても、洋服をあまりもっていなくても、天然美人であれば、ビューティーページに出てもらいたいので、街中などでスカウトをすることもしばしば。でも30代以上をターゲットにした雑誌だとまた話しが変わります。大学生の頃は可愛かった方も、時が経てば、老化現象がじわりじわりと出て来るもの。写真にしてみると、それはより顕著になるので、「あれ? なんか違う…」となるのです。大きくぱっちりとしいていた目は、上まぶたがたるみ、二重幅が狭まり、下まぶたはくぼみ…、Vラインだった顎は、頬が垂れてきて四角く。髪には艶がなく、いつも疲れて見え、なんだか野暮ったい…。こう書いているだけで、負のオーラしかありません。そう、天然美人も劣化します。たとえ元から美人でもきらめきを保つというのはすごく大変なことなのです。

 そして40代目前、いよいよ正式に雰囲気美人が台頭します。50代、60代なら尚更のこと。長期的に美しい人でいるためには、誰もがファッションやメイク、その他の努力をし続ける必要があります。神様はやっぱり平等に試練を与えます。それまで“天然美人”であることにあぐらをかいていた方は、もうちやほやされることもないでしょう。昔の感覚が忘れられずに、人生はとっくに折り返し地点を越えたというのに、高飛車だったり、どこか子供っぽかったり…。若さにこだわるあまり、痛い年齢の重ね方をしている場合だってありますね。

 では、雰囲気美人になるためのファッションとは一体どんなものでしょう。20代と同じコーディネートをしている人は要注意! 年齢を重ねると、生まれ持った骨格のマイナスの部分がよりはっきりと現れます。だからこそ、年齢と骨格に合った服をまとうことが大切に。ストレート体型はころんと丸い感じが強くなり、中年感が増し、ウェーブ体型はなんだかげっそりとし、疲れた老婆のよう。ナチュラル体型は筋っぽさが増し、より中性的な見た目になる方も。どれも当たり前の老化現象です。

 自分に似合う服、自分が輝ける服をまとうことで、欠点をカバーするだけでなく、自信が生まれます。そしてそれは幸福オーラを発揮します。私は、年齢を重ねるにつれて、“人モテ”することがとても大切になっていくと思います。人生、とくに後半で大切なのは、「この人と一緒にいたい」と思われる人。そう思われる人の多くは、清潔感があって、大人としての品があって、なんだか幸せそう。そして、若さに固執していなくて、年齢を重ねたからこその楽しみ方を知っています。一緒にいると穏やかな気分になったり、元気をもらえたり。会話をすれば、そのすべてが勉強になるような内容だったりするのは、その人がそれまで歩んできた道でトライ&エラーを繰り返してきたからでしょう。人生100年時代だからこそ、そんな人モテする女性を目指したいもの。そのためには、自分と向き合い、挑戦と失敗を繰り返す必要があるのだと思います。そして、そんな深みのある大人になりたいもの。今の自分に満足せず、あきらめず、どうしたら自分の魅力を発揮できるのかを考えてみませんか。天然美人ということにあぐらをかけるのはほんの一瞬。“THE普通の人”でも努力をした人のほうがきらめきを放つのだと、信じていますし、私が見る限り、断然そうです。そしてその努力こそが大人の女性にこそ欲しい、“可愛げ”や“包容力”を生みます。どうせなるなら可愛いおばあちゃんに。最後まで人モテする人に。そう思う今日この頃です。

写真は素敵に歳を重ねていくヒントをもらえる、草笛光子さんの本『草笛光子のクローゼット』(主婦と生活社)。見ていると、年齢を重ねるのが楽しみになります。

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棚田朋子

神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟

光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。