ライターである私は、職業柄さまざまな方にお会いしてお話を伺うことが多い。旬の方、注目の方、著名な方、その道のプロの方、読者の方々…。本当に有り難く、そこで伺うお話や、シェアした時間は人生の宝物です。どの方とお話させて頂いていても、新しい発見があって、毎回勉強になりますが、今回とくに取り上げたいのは、“読者の方々”について。
私が携わっている雑誌は、とにかく“読者”に会うことが大切だったりします。それは所謂、“読者調査”と呼ばれていて、彼女たちが今何に興味があるのかを徹底的に聞くというもの。
どんな仕事をしていて、勤務地はどこなのか、実家なのか、一人暮らしなのか。どんな働き方をしているのか、仕事帰りはどこに繰り出すのか、休日は何時に起きて、どこに出かけるのか。どのブランドが好きなのか、どこで買い物をするのか。どんな服を着て、どんなヘアメイクをして、どんなところに遊びに行きたいのか。美容アイテムはどこで買うのか、メイクのお手本にしている人は誰なのか。このくらいはまだ序の口で、もっともっと掘り下げます。
どんな人と結婚をしたいのか、結婚したらどんな生活を送りたいのか。とにかく根掘り葉掘り聞きまくります。信頼関係がないと難しいギリギリの質問も多い中、皆さん、本当に快く協力してくださいます。
彼女たちが教えてくれるそんな情報を基に、私たちは企画を考え、ファッションページならば、コーディネートをスタイリストに提案してもらい、そこに我々ライターや編集の要望を加え、撮影をし、ライティングをするという具合にページが出来上がります。とにかく、この“読者調査”がなければページが成り立たない場合が多いのです。言ってみれば、彼女たちの意見こそが雑誌の根幹です。
これまでもたくさんの読者の方々に色々なことを教えてもらい、いくつもの企画が生まれました。中でも私は、“モテ企画と呼ばれるようなものも好きで、そのような企画をよく提案するのですが、その際に大切になってくるのが、男性の意見です。
女性のファッションやヘアメイクに関することはもちろん、女性のどんなところにキュンとするのか、どんな女性と一緒に生きていきたいのか…やっぱり根掘り葉掘り伺います。教えて頂けるギリギリのラインまで。誌面で紹介したコーディネートはもちろん、他誌からも、ときにはSNSからも画像を拾い、それらを彼らに見てもらい、意見をもらいます。
「オフィスに着て来て欲しい服は?」「会社帰りのデートのときは?」「2回目のデートのときは?」「休日のデート服は?」「そのときどうして結婚しようと思ったの?」。テーマはそのときによりさまざま。そんな取材もかれこれ10年以上やらせて頂いています。
けれど…、さまざまなコーディネートを見せているのに、そして時代は平成から令和に変わっているのに、男性の意見というのはなかなか変わりません。
ひとつ変わったことと言えば、5年ほど前までは足元はどうしたってヒールが良いとされていたものが、スニーカーなどのペタンコ靴を合わせたコーディネートも支持されるようになったということ。それでも彼らの大まかな答えは変わりません。“白Tにデニムが似合う子がいい” “似合っていればなんでも”この2つが彼らの合い言葉。それは商社マンであろうと、メーカー勤務であろうと、経営者であろうと、芸能人であろうとそうなんです。
いつだってモテ服の第1位に選ばれるのは、白いTシャツに細身の、しかもインディゴのデニムのシンプルな組み合わせ。
冬になればそこにチェスターコートを合わせたコーディネートが選ばれ、肌寒い季節の狭間だと白Tがシャツに変わることもありますが、デニムとシンプルなトップスという組み合わせという方程式は変わりません。
清潔感があって、はつらつとしていて、媚びた感じがなくて、自立していそう。でもそんな女性がときに落ち込んだりしている姿に好感が持てる。そんな女性像をコーディネートに落とし込むと、“白T×デニム”(しかも似合っていること前提)とうわけです。
でもこれ、着こなせる自信、ありますか?
骨格タイプで言うと、ストレート体型が似合うスタイリングではありますが、生まれ持ったもの一丁で勝負をするしかない着こなしです。彼らの言う“白Tにデニムが似合う子”の中には、つまり、“僕たちが好きなのは、スタイルのいい子”ということが隠れているわけです。
そして、もっとざっくりしている“似合っていればなんでも”という意見。これはつまり、チグハグな感じや無理している感じがあるのは、見ていてしんどいということ。
彼らが支持するこんなシンプルな着こなしでさえ、サイズ感やシルエットで似合う、似合わないがはっきり出るのですから、まずは、Tシャツ一枚、デニム一本にしても似合うものを探すことが大切ということです。
そこで役に立つのがやはり骨格診断メソッド。繰り返しますが、Tシャツもデニムも生まれ持った骨格別に似合うシルエットやデザインがあります。もちろん洋服を着こなすための努力は必要。でもそれはモデル並みに細くする必要なんてないんです。あくまで健康的な身体を維持できる努力をすること。そして自分に似合う服を着ること、追求すること。骨格診断は、確実に似合う服が見つかる手助けをしてくれます。もうすぐ夏。運命のTシャツとデニムを見つけてみてください。きっとその恋の手助けになるはずです。
棚田朋子
神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟
光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。
二神弓子/丸田久美子/
森本のり子/寺尾智子
2017年1月18日初版発行