みなさん、TBSで放送されていた『不適切にもほどがある!』(ふてほど)観ました? 私は毎週楽しく拝見していました。ある一定のサイクルで訪れるタイムリープものの作品ですが、笑いと共感力を生む天才(と私は思っている)宮藤官九郎氏のオリジナル脚本、コメディから狂気的な演技までやってのける俳優・阿部サダヲ氏がタッグを組んだこちらは、他のそれとはまた違った形で引き込まれ、観終わった後は「よかったな」と思えるものでした。ギャグや小ネタが散りばめられたストーリーは、バラエティ番組を観ているかのような面白さがあって妙に現実的。「昭和の当たり前は令和の不適切!?」をキャッチコピーに掲げたこの作品は、昭和のダメおやじが令和にタイムスリップしてしまい、コンプライアンスに縛られた令和の人々へ考えるヒントを与えるというもの。ドラマ評論家によれば、初回放送以来、若者も中年も世代を超えてすっかり同じ作品に魅了されていたそうで、SNSではもちろん実生活でもこのドラマが会話に上がり、互いの共通点を確かめ合っていたそう。令和の今だと完全にアウトな発言があくまでセリフとして発せられ、画面には「当時の表現をあえて使用して放送しています」とテロップが入り、“ダメってわかっていますよ”というアピールをお笑いで言うツッコミ的に使っている巧みな表現に「この人、天才なんだな」と思ったら、その次のターンにはホロリと涙してしまう場面があったりで、私の喜怒哀楽を60分弱でこんなにも引き出してくれるなんて!と感動したりしていました。

 

ということで、とにかく私はこの作品が大好きなわけですが、こちらのコラムで一番伝えさせて頂きたいことは、ここからです。骨格診断メソッド愛用者の私たちは、阿部サダヲさんが演じる主人公“昭和のダメおやじ”の柔軟さを見習おうということです。主人公の一郎(阿部サダヲ氏)は昭和のダメおやじだけれど、令和に来てもうまい具合にやっていける人物です。令和でもちゃんと仕事するし、なんならちょっといい立場についちゃったりする。話の最後になってくると、彼が昭和に戻っても令和のいいところをちゃんと昭和に取り入れていたりして、結果的にどちらの時代のいいところも融合して、彼が関わる世界を素敵にアップデートするのです。

 

 ドラマの最終回近くに、占い師の先生にお話を伺う機会がありました。伺った質問は「正解が見えづらいこの時代をどう生きるべきか」。“多様性”(一人一人の属性の違い、身体的な事情の違い、働く条件の違い、生活の制約の違いによる差別や区別をしない)という言葉がだいぶ定着し、どんな主張も大体が正解とされる今だからこそ、昭和を生き抜いてきた先輩方からはただの甘えでは?と思うようなことがたくさん起こっていたりします。その主張がただのわがままの可能性もあるけれど、それを指摘すると“パワハラ”と訴えられる難しい時代。そこに甘えて“頑張らない人”が増える一方で、自ら進んで粛々と努力する人もいるので、これから先はさらに貧富の差が増えるそう。

 

2020年に土の時代から風に移行して早4年。コロナ禍でリモートワークが身近になり、オンラインがより勢力を増しました。私たちは昭和の生活からは考えられないほどの便利な毎日を過ごしています。ネットの時代。風の時代。けれど、まだまだ土の時代との移行期が続いているそう。これから30年くらいかけて、なんでもかんでも“ハラスメント”とされていることが、少しずつ精査されていくのだとか。新しくて、どこか極端に見える主張がすべて容認される時代は終わり、もう少しきちんと線引きされ、洗練されていくといいう見解を聞いて、なんだか腑に落ちました。

多様性って結局なんなんだろうと思う最近だからこそ、“ふてほど”の昭和のダメおやじみたいなしなやかさが大切でしょう。昭和にはまだなかった骨格診断メソッド。似合う服やメイクを知ることができる一方で、ルールにがんじがらめになってしまっている人もいるはず。けれど、そこもやっぱり堅い頭を柔らかく。AIを味方にしつつも、機械が思いつかないほどの想像力を発揮して、ファッションも似合うも両立させていきたいものです。これからの私たちに必要なのは一つの軸と自分との対話。そして人の意見も聞くこと。自分が好きな服を纏うのが一番だけれど、昭和時代のように誰かのために着る服があっても愛があっていいじゃない、と思うのです。

舞台観劇が好きで、時間を見つけては足を運んでいます。写真は2016年に宮藤官九郎さんが脚本を担当した劇団☆新感線の『Vamp Bamboo Burn~ヴァン・バン・バーン〜』。こちらも爆笑コメディあり、ラブストーリーあり、音楽ありのそれはそれは楽しいエンタメでした。 ファッションもこれだけ喜怒哀楽を表現できると日々が豊かになりますよね。

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棚田トモコ

神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟

光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。