容姿に恵まれているというのはかなり得をするらしいというのは本当なのか。一節によると、ルックスがいいと生涯で2700万円得をするらしい。さて、真実はいかがなものか。
みなさんもご存知の通り、骨格タイプ3つのなかで、どのタイプが優れているかというものはありません。ストレートタイプにもウェーブタイプにもナチュラルタイプにもそれぞれに誇らしいポイントも悩ましい部分もあるものです。そもそも、それらが本当にそうなのかと言われると、個人の主観の問題だったりもするのですけれど。とはいえ、人はないものねだりをしがちだし、隣の芝生は青く見えるものですよね。気持ちが前向きなときであれば、自分の骨格タイプの“魅力”とされているところを素直に受け入れ、それを伸ばすことができますが、そうでない方や人と比べがちな方などは、誰かの素敵な部分だけを見て落ち込んだり。最悪の場合、お洒落になるどころか、身だしなみを整えることさえやめてしまう方もいらっしゃいます。でもそれは少しもったいないかもしれません。なぜなら、元の要素というのは実は関係なかったりすることがエビデンスとしてあるからです。
先日、興味深い実験結果を目にしました。カナダの心理学者、カレン・ディオンの実験で「美しい人は性格も良いと思われやすく、社会的に成功すると思われやすい」と。また、1989年にアメリカで530名の方に参加をしてもらった、仮想裁判実験でも同じような結果が出ています。その実験の具体的な内容はこのようなものです。
―大きな交通事故を起こしてしまった人がいて、その人にどれくらいの賠償金を請求するべきか―
この実験でわかるのは、車を運転していた人が美しい女性もしくはかっこいい男性だった場合と、そうでなかった場合とで陪審員の態度が変わるというもの。結果は美しい女性やかっこいい男性が事件を起こした場合は、「うっかりしていたんだろう」とか、「疲れていたんだろうとか、「相手にも悪いところがあるはず」など、判断が割りと甘くなりがちになり、美人には5500ドル、そうでない場合は10000ドルの賠償請求が。美人とそうでない人の場合とではこんなところでも差が出てしまうという結果が出たそうです。
ここまでの話だと、所詮この世は外見至上主義か……とがっかりしますよね。でもそれを覆す結果が出るのでぜひ最後まで読んでください。20年近く経ち、この現象は真実なのかと再度検証したところ、容姿が一般的な場合でも、男性ならビシッとスーツを着ていたり、女性ならメイクを施していて、ヘアを整えていれば、美人と不美人との差はほとんどない結果に。つまり、人は元の顔の造形で性格などを判断しているわけではなく、社会から良く思われようという意識があるかどうかを重視しているということがわかったのです。
つまり、好印象を得られる人というのは、顔が元から整っている人ではなく、身なりを整えよう、美しくなろうと努力している人ということ。逆に言うと、元がいくら整っていても、身なりに気を使わなければ好印象は得られないというだけでなく、先の実験結果においていうならば、信頼を得にくいということになります。
この事実を知ると、努力のしがいがあるというものです。どんなに美人でも悩みはあると思いますが、美人で元からスタイルのいい人は、容姿に関しての悩みはそうでない人と比べるとぐんと少ないもの。けれど、年齢を重ねると誰でも見た目の悩みが顕著になるものです。ただ、私が客観的に見ていて感じることは、それまで努力をしてこなかった、する必要がなかった人というのは、ネガティブなエイジングが出てきたときの対処方法がわからなかったりするものです。コンプレックスときちんと向き合い、改善しようとしてきた方はそれまでの経験を踏まえて、愚痴を言ったり、言い訳したり、自己憐憫に陥るだけに終わらせず、前を向く方法を知っていたりします。年齢を重ねてきたら、元から美人だと言われる方と、一般的だけれど、日々自分の外見をよりよくしようと頑張ってきた方とでは大逆転が起こったりするのも事実。冒頭の“ルックスがいいと生涯で2700万円得をするらしい”説はもしかしたらそうかもしれない。けれど、それが豊かで楽しい人生であるかとはまた別の話。人生100年時代なのであれば、恵まれているとされている容姿の方でも自分の外見と向き合ったほうがいいときが必ず来ます。骨格タイプはもちろん、そもそものルックスは関係ありません。大切なのは、与えられた容姿と向き合い続けること。それを活かせるようにすること。骨格診断メソッドは、自分磨きをするときに何からはじめたらいいかわからないという方の指針になります。与えられた骨格を存分に活かして人生が輝けばそれほど嬉しいことはないですよね。そんな方々がさらに増えることを願って。
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棚田トモコ
神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟
光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。
二神弓子/丸田久美子/
森本のり子/寺尾智子
2017年1月18日初版発行