“自己受容”という言葉をご存知ですか。アルフレッド・アドラーという方が築き上げた心理学の中に出てくるもので、自分の受けがたいところをそのまま受け入れるという意味です。今の自分の状態を受け入れ、ここをスタートラインにすることで、遠い理想でも少しずつ叶えていくことができるそう。これを無視し、理想ばかりを追い、無理なジャンプをし続けると、あっというまに疲れ果て、理想からは遠のくばかり。つまり、“なりたい自分”に確実に近づくためには、まずは自分の現状をきちんと知り、受け止める必要があります。

トレンドの服を思うがままに着られる若い世代にもすっかり広まった骨格診断。骨格診断の普及に努める身としてはもちろん喜ばしいことだけれど、骨格診断のルールがまるで呪いのようになってしまっているコを見ることもしばしばあって、そのたびに心がもやもやすることも。
 

「私は◯◯体型だから、コレは着ちゃいけない」なんていう声は数年前からちらほらあって、そのたびに二神弓子先生も声を大にして“骨格タイプによって着られる服が制限されることはない”と呼びかけているのをお見かけしてきた。少しずつその声は届いているように思うし、もっともっとたくさんの方にその声が届くように願っている。でも最近私が気になっているのは、「私はウェーブタイプ」と言い張る女子たち。もちろんどこからどう見てもそうであるコもいるし、このコのここの部分は確かにその特徴があるけれど、ここはストレートタイプの特徴がある…総合的にはどうだろうか?と悩ましい子も。でも明らかに違うよ、あなたはどこからどうみてもストレートタイプ…あなたは明らかにナチュラルタイプというコも。どうやら20代前半の女の子たちが憧れる骨格タイプはウェーブタイプらしい。それは、ふわふわしていて、可愛らしい服装がしっくりとくる骨格タイプだからということが先行しているように思う。私も可愛らしい服装が似合う自分でありたいと強く思う時期があったから、その気持は大いにわかる。けれど、本来の自分とは違う骨格タイプであるならば、まずはそれを受け入れ、そこからどのように“なりたい自分”に近づけるか作戦を練るのが大切だ。何度も言おう。大切なのは骨格タイプを知ることではなくて、骨格タイプを知るプロセスの中で、自分の体の特徴を知り、ときに失敗をしながらもその活かし方を考えること。その先に理想の自分、しかもスタイルアップもさらりと叶えられたそれがある。

伝え方というのは本当に難しい。とくに決まった文字数や時間内にわかりやすく伝えるためには、ある程度はしょらざる負えないところが出てくるから、大枠だけを伝えがち。補足する時間があればいいのだけど、ざっくりした大枠だけしか伝えられなかった結果、それを受け取った側が自分の身体で気になっているところだけにフューチャーして、 “私は下半身にボリュームがあるからウェーブタイプ”とか、“肩がなで肩だから絶対にウェーブ”…というふうに、思い込みを捨てきれずにチャートや設問に向き合ってしまうという点。骨格診断はあくまで身体を360度、四方八方から見て、どの特徴が一番強いかで判断するもの。だから身体の特徴一つだけに囚われたら、正確な答えは出ない。

勘違いをさせてしまうのは、チャートや設問だけではない。コーディネートをよりわかりやすくお伝えするためには、具体的なコーディネートを提案することが大切で、画像でそれを紹介すると、そればかりに囚われてしまう方がいらっしゃる。たとえば、ストレートタイプはVネックが得意という文章があれば、“Vネックじゃないとだめ”と変換されてしまったり。ウェーブタイプはシンプルが不得意と伝えたら、“シンプルな服を着てはいけない”と思われてしまったり。ナチュラルタイプに関して言うと、かっこいい雰囲気の服装しか似合わないと思いこんでいらっしゃる方もたくさん。

骨格診断アナリストである私たちもよりわかりやすく、受け取る側が勘違いしないような伝え方をするよう努力しなくてはならないけれど、骨格診断に興味を持ってくださる方がまずはフラットな気持ちでご自身に向き合えるように強くお伝えしていくことも大切だなと強く思う。骨格タイプに優劣はない。なりたい自分になるにはまずは自分の長所だけでなく欠点や弱点も含めて自分を客観的に知ること。アドラー氏によれば、それができれば、人と比べることがなくなり、心に余裕が生まれる。そしてその心の余裕から自主性や自発性が生まれ、自分にも自信ができて…結果的に自分にフューチャーすることになってどんどん自分を高められるようになる。そうとなれば、自己受容をしない手はないですよね。その先にびっくりするくらい素敵な未来があるのだから。

二神先生のご著書や私も出させて頂いた骨格診断に関する本の数々。書籍だけでなく、さまざまなメディアでお伝えする際に骨格診断がその方の未来をより明るくするものであるということを強くお伝えしたいと思う今日この頃です。

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棚田トモコ

神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟

光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。