みなさんは、“AGILE COSMETICS PROJECT(アジャイル コスメティクス プロジェクト)というスキンケアブランドをご存知ですか? 201811月に誕生して以来、常に“イメージよりも効果を追求”している、いわば業界の革命児的な存在のブランドです。「スキンケアブランドはこうあるべき」というような固定概念にこだわることなく、ただただ肌状態をよりよくすることに力を注いでいる消費者に寄り添ったブランドで、私は商品はもちろん、その考え方に共感しています。
ブランド名にも入っている、“アジャイル”とは、“アジャイル開発”というソフトウェア開発で使われている、小さなサイクルで開発を繰り返す手法のことで、それを取り入れているのが特徴のひとつ。消費者の変化し続けるライフスタイルやニーズに寄り添って、商品のアップデートを迅速に行っています。スキンケア製品は商品開発に数年かかるだけでなく、一度発売すると、次のリニューアルは数年後もしくは新しい知見や新成分が発見されたときなどが一般的。一方でアジャイルコスメティクスプロジェクトに関しては、代表のアイテムである“白いオイル”で言うと、3年間で49回も更新されています。お客さまの「こうして欲しい」の声とプロの視点が組み合わさって新たな力が生まれ、発表される製品には「こういうのを求めていた!」と毎度驚かされ、そして虜にさせられます。まだまだ詳しくこのブランドの魅力についてお話させて頂きたいですが、そろそろ骨格診断とファッションのお話に…(笑)。

 

 このスキンケアブランドほどではないにせよ、コロナウィルスで新しい生活様式になったこと、とくにオンライン化がぐんと加速したことで、ブランド側に消費者のリアルな声が届きやすくなったと思います。たとえば、緊急事態宣言下では、各アパレルブランドは自社でライブ配信を行い、服の魅力を媒体の力を借りることなく積極的に伝えるようになりました。ブランドが頻繁に配信する生のLIVE配信では消費者のリアルな意見や疑問がコメントできることから、求めていることが作り手側にダイレクトに伝わりやすく、お客様の声がより届きやすくなったように思います。「こういう商品を作って欲しい」とか「この色が可愛い」などの要望がすぐに届くというのはブランド側にとってもありがたいもの。ある会社ではインスタグラムのストーリーの“アンケート・質問機能”で集めた結果をもとに商品を開発し、販売したことから大ヒット商品が生まれたという話もあります。

 

 ここ最近雑誌づくりの現場で洋服を見ていても同じようなことを実感することがあります。それは、ストレート体型やナチュラル体型に似合う甘い服というのがあきらかに増えてきたということです。もちろん、甘い印象の服がトレンドの一つということもありますが、それだけではない理由があると思います。たとえば数年前から流行っているティアードデザインのスカートやワンピース、大きな襟のブラウス。曲線的で可愛らしい印象のこれらのアイテムは、ウェーブ体型が得意とするもので、これらが出始めたときは、丸みのあるデザインを着ると太って見えがちなストレートタイプやフェミニンな雰囲気のものが苦手なナチュラルタイプが取り入れるにはスタイリングにいくつもの工夫をする必要がありました。けれど、最近では、ストレートタイプの方も着こなせるよう、Iラインシルエットが強いものや、ナチュラル体型の方にも似合う、ほんのりした甘さのデザインのものが豊富に。骨格タイプに“似合う・似合わない”という観点から見ないにしても、ティアードがかなり目立つもの、フリルがたくさんあるものは難しいと思っている人が「ほんのりと旬の甘さをまといたい」というときにそれがさらりと叶うものがぐんと増えました。ティアードデザインの段が浅かったり、3段だったものが1段になっていたり…。多くのブランドが素早く微糖のものをずらりとラインナップしたように思います。この状況はブランド側が消費者の意見をいち早く取り入れていることの現れだと思っています。可愛らしいものは好きだけれど、着るには少し照れがある。でも可愛らしさは取り入れたい、スタイルもよく見せたい…。そんな女心をすぐさま拾ってくれた結果です。

 

 もちろんそれは嬉しいことですが、こうなってくると、それは骨格診断のルールの例外ではあるので、混乱するのも事実。ナチュラル体型はフェミニンなものよりもボーイッシュなデザインが得意―たとえば、それだけを切り取るとティアードデザインやフリルはナチュラル体型には“似合わない”ものになります。けれど、先程書かせて頂いたように、これまで以上にファッションはぐんぐん変化していて、骨格診断のテキストだけでは判断できないものもたくさん。けれどその分、“似合う”も“着たい”もより簡単に叶えられるように。でもそれは骨格診断メソッドで自分が苦手なものを知っているからこそ。不得意なことを知っているということは、おしゃれを楽しむ上で強みになるということを忘れてはいけません。ナチュラルタイプの方はティアードやフリルが苦手だとわかっているからこそ、自分に丁度いいフェミニン度の調整ができるのだと思います。「甘い印象のものは苦手だから」と諦めるのではなく、試行錯誤をしながらもどうしたら似合うかを探ってみる。とはいえその苦労をしなくてもさらりと似合う微糖なアテムが出てきているのですが…でも、今後も新しいデザインは登場します。そんなときに自分で一度工夫をしてみることが大切だと思うのです。その積み重ねが私たちのおしゃれの幅ももっともっと広げてくれるはずです。

 

 自分の骨格タイプを知ることは、似合うものがわからない人にとってのある程度の指針になります。けれど、私が思うのは、骨格診断とは、自分を知るきっかけだと思います。自分の体の特徴を知る、自分のスタイルの長所を知る。たとえば、総合的な判断でウェーブタイプになったとしても、指はナチュラルタイプの特徴があったり、肌はストレートタイプの特徴があったりなどいろいろな骨格タイプの要素が入っていることも少なくありません。診断結果は1つではありますが、それだけにとらわれず、また、ルールだけにとらわれず、自分の体型の良さを引き出すにはどんなデザインをセレクトするべきかを考えてみましょう。そんな柔軟さが進化するファッションを楽しめる、そう思う最近です。

 

今回のコラムの題材のきっかけになった、アジャイル コスメティックス プロジェクトのコスメたち。シンプルでスタイリッシュなパッケージも魅力です。簡単ステップなケアとミニマムなデザインは彼と一緒に使うのもおすすめです。ファッションもコスメもユニセックス化が進んでいますね。

 

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棚田朋子

神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟

光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。