グリーンにコバルトブルー、ブラック、チョコレートブラウンに桜のようなピンク…この秋のトレンドカラーです。まだまだ暑い季節が続くけれど、ファッション業界ではすでに秋のコーディネートを提案する企画が進行中です。インナーに着たキャミソールがあえて見えるくらい薄い、シアーなニットや、ツイードデザインのカーディガンやジレ、ミニスカート…夏は短くてあっという間だからこそ、この時期ならではのコーディネートを全力で楽しみたいけれど、SNSに上がってくる次のシーズンの情報を目にすると、秋冬のスタイリングを妄想しがち。ただでさえ暑いのに、地厚な生地の洋服のことを考えるだけで、よりムンっとした熱気が体にまとわりつく気がして、余計に暑い気分になるけれど。とはいえ気になる秋冬のアイテムを着ることを想像するのは楽しい! だから、まだ夏を十分に満喫できていないのに、「早く秋にならないかな」なんて考えてしまいます。そんなキャッチーなアイテムが並ぶ一方で、永遠のベーシックアイテムと言われている“デニム”を打ち出すブランドもたくさんあります。定番のアイテム、“デニム”が今また注目されています。―まだまだ不安な日々が続く今だからこそ、長く使えるアイテムを―というのがブランド側からのメッセージなのでしょう。
たしかに、新生活様式を強いられたことで、私達のファッションに対する考え方はより具体的になってきたように思います。私が思うに、ベクトルは大きく分けて2つあって、本当に必要なものだけを手元に置いて、少ない服だけで毎日を過ごす派(ちなみにこの派の方たちは、自分のなかのスタメン的なベーシックがあって、基本的にはワンシーズンくらいでそれらを一掃して買い換える人が多い)と、でかける機会がぐんと減ってしまったからこそ、貴重なおでかけの日は、華やかなものをまといたいという考え方の人(この方たちは、いろいろなテイストのものを楽しみたい人たちで、服を少なくするつもりがそもそもない人。ちなみに私はこっち派です)。今季はワードローブの定番アイテムであるデニムがトレンドの一つということもあり、どちらの派の方たちもデニムを見直すのがおすすめです。
さて、ここで皆さんに質問です。ベーシックと言われているこのデニム、何年持つと思いますか? “ベーシック=永遠” という暗黙の方程式はあるけれど、本当に永遠だと思いますか? もちろん、デニムはベーシックアイテムです。けれど、永遠に買い換えなくていいかと言うと、それはちょっと無理があります。
使用感が出たら買い替えたほうがベターだし(大体2年くらい)、欲を言えば、普通のアイテムこそ、更新が必要だったりします。定番と言われているアイテムというのは、みんなが見慣れているからこそ、デザインが今っぽくないと「ちょっと古いかも?」というような印象を与えてしまいがちです。とくにワードローブをシンプルなアイテムだけで構成しているという方は、コーディネートに“何年か前に流行ったものの集合体”ということが出てしまいがちなので、注意が必要です。
今年のデニムは股上が深い、“ハイライズ”が主流で、膝からほんのり広がるフレアデザインがとくに旬。とはいえ太ももがふんわりしていて、脚に向かってすっと細くなるテーパードデザインやストレートデニムも出ています。ちょっとご無沙汰だった、ナチュラル体型によく似合うダメージデザインも再登場。また、裾にスリットが入っていたり、センタープレスがあしらわれているようなデザインのものも最近の傾向なので、“直線”が得意なストレート体型にぜひ手にとってもらいたいところ。とくにスリット入りのデザインのものは、真面目になりがちなコーディネートに遊び心が加わるはずです。ちなみにユニクロの”ウルトラストレッチジーンズ”は、同コレクション史上最高の伸縮性を備えた一本がお目見え。デニムが苦手なウェーブタイプですが、とろんとした肌になじむスキニーデニムなら気負いなくトライできるはずです。ちなみにストレッチの効いたフレアデザインをコンパクトなトップスと合わせてパリジェンヌっぽく着こなすのだってばっちりはまります。
こんな具合に、今季のデニムは選び甲斐のあるラインナップなので、3タイプそれぞれの骨格タイプに似合う一本が見つけやすい! ご自分のコーディネートにデニムが欠かせないという方は、ぜひデニムをアップデートしてみてはいかがでしょう。ほんの少しのデザインの差でいつものコーディネートに今年らしさが宿ること間違いなしです。
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棚田朋子
神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟
光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。
二神弓子/丸田久美子/
森本のり子/寺尾智子
2017年1月18日初版発行