ひとつのことを深く深〜く掘り下げる、その道にすごく詳しい〝オタク気質〟な人、言い換えれば〝偏愛主義な人〟。最近、そんな人々の活躍が目覚ましいように思います。そんなの前からじゃない? と思われるかもしれませんが、今年はそれを再認識した年でした。

 2020年は、仕事の仕方や皆が求めるものが大きく変わって、デジタルメディア、YouTubeやインスタグラムのライブ配信の浸透で生活者と発信する側との距離がぐんと近くなった年。時代がいろいろなことを模索していて、メディアの形が多様化されている今だからこそ、その道のプロとも言える人々が顕著に必要とされているのだと思います。ということで、今回は好きを突き詰め、得意なことを磨き上げる人々について考えていきたいと思います。

 数年前に大ブームを起こした〝断捨離〟やアップルの創始者〝スティーブ・ジョブズ〟の影響もあって、服をたくさん持っていることへの憧れが少なくなりましたよね。逆にいつも同じような服装をしている人のほうが〝洗練されて見える〟と評価されることも増えました。イッセイミヤケのハイネックトップスにリーバイス501、ニューバランスのスニーカーというのがジョブズのコーディネートの定番。それはもはや制服のように彼の生活に溶け込んでいるように見えました。その服装が彼の骨格タイプにはまっているか否かはさて置き、〝マイスタンダード〟を持つことで日常の生活を簡素化して、ストレスの原因となる選択をひとつ減らすことができるのだとか。
そんな効率追求型がいる一方で、好きなものだけをひたすら求める人、たとえば、デニムやスニーカーが好きでひたすらそれらを集める人たちもベクトルは違えど、偏愛主義者というカテゴリーに分けられます。私のまわりのスタイリストやエディター、ライターたちにもそういうオタク気質は至極多くて、とにかくカゴバッグが好きな人、スタッズデザインを見ると買わずにはいられない人、ピンク好き、サロペット好き、スカートしかはかない人…。自分のスタイルにこだわりしかない人たちばかり。もちろんトレンドものは皆〝情報〟として知っているけれど、それを自分の着こなしに取り入れるか否かはまた別の問題。でもこれ、ファッション業界の人に限ったことじゃなくなってきているのです。少し前まで、とくに女子は、隣の誰かの服装を気にしたり、ちょっとライバルのあの子の持ち物を気にしたりしたけれど、今ってどうやらそういう時代じゃない。「それ、新作の●●だね」より、「●●ちゃんらしいね」っていう言葉をもらうほうがよっぽどイケている時代なのです。
 
 要は人それぞれいろんな理由で、服を選んでいるのだけれど、誰かの目線のものよりも自分がより良く見えるもの、自分がときめくもの、自分が着ていて心地のいいものという〝自分軸〟が何よりも大切になったのが2020年です。それならば、これを機に自分に目を向けてみませんか? 私は、みなさんに自分オタクになって欲しいと心から思います。大手を振って外出できない今だからこそ、いざそのときにまといたいのは、スタイルがよく見えたり、洗練されて見えたり、どこか晴れやかな気持ちになれる服のはずです。

 先日、とあるアパレルブランドのインスタライブにお邪魔しました。そのときに頂いたコメントで目についたのが「いいな、ウェーブタイプ」という声。ウェーブタイプに似合う服というのは、どうしたってそれ一着の力がすごく強い。それは華奢な上半身を盛り上げる必要があるから、そのようなデザインをセレクトする必要があるのだけれど、身体の存在感がばっちりあるストレートタイプやナチュラルタイプはそれを必要としないし、逆にそのような服を着ると野暮ったい印象になったり、服と雰囲気がちぐはぐで、どこか違和感が出たり。似合いにくいとわかっているからこそ、ウェーブタイプの人にハマる華やかな服が羨ましいと思うのでしょう。
けれど、自分の骨格タイプに似合う服を着ていたほうが、洗練されて見えるし、なんか素敵に見える。そしてそれを優先することで、ふと鏡に写った自分でさえも好きになれると思うのです。ちょっと痩せて見えるだけで機嫌がよくなったりするのが女性という生きもの。その〝機嫌がいい〟の積み重ねで人生がぐんと明るくなると思うんです。だからこそ、まずは〝自分オタク〟になったものがち。自分の身体をしっかりと研究してみることです。首の長さは? 胸の位置は? どこから太る? 自分の身体の特徴をきちんと知っていれば、おのずと似合う服、自分を素敵に見せてくれるものがわかります。その上でどうしても着たい、偏愛デザインやアイテムを取り入れたら、骨格診断メソッドがしっかり働き、似合うも着たいも叶うのです。なんだか不安な日々が続いている今だからこそ、毎日のコーディネートくらいは〝ご自愛〟できるファッションがいいと思うこの頃です。

 


自分に似合う形のアイテムに出会ったら、色違いで何色か買っています。ストレート体型の私のワードローブは、シンプルなデザインがどうしても多いので、色で遊んで今年らしさを出す必要があるからというのがその理由。

 

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棚田朋子

神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟

光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。