正統派と言われているシャツやデニム、紺ブレなどのようなベーシックな服が大好きです。母がトラッドなスタイルを娘たちにさせるのが好きだったので、幼少の頃よく着ていて、妙に愛着があるというのもありますが、小学生の頃に夕方に再放送されていた月9ドラマも大きく影響されていると思います。物語のヒロインたちの大体はそういう服に身を包み、大いに仕事をし、感情を丸出しにして恋愛をしたりしていて、すごく輝いていたから。大人になったら、きっと私もこうなるはず…!早く大人になりたい! なんて思っていたっけ。

 先日、こちらのコラムの第8回目で今年の秋こそ〝カチューシャ〟を…なんて書かせて頂いた通り、今年は例年以上にカチューシャありきのコーディネートがしたくてたまりません。そんなわけで色々なカチューシャルックを見たいがために様々な画像をネットで検索したりするのですが、そんな折りに赤名リカ、フジテレビで1991年に放送されていた『東京ラブストーリー』の主人公の画像が出て来ました。その着こなしはトラッドベースに頭にはカチューシャ! あの頃私が憧れていたその着こなしをするなら、まさに今なわけです。というわけで、この秋の着こなしを目前にして、ワクワクしている最中です。
でも、9月に入ったからって、大本命のブラウンのチェックジャケットを着るのにはまだ早いし、もちろんニットだってまだまだ暑い。けれど、お盆を過ぎたら急に秋服を意識し出すのが乙女心。8月下旬にもなれば、とくに夜はビルとビルの間のもわっとした空気の中にもときにスッと涼しい気配を感じます。けれど、湿気を含んだもわっとした空気はやっぱり生温く、暑くて、汗が止まらない。何が言いたいかって、とにかく暑さを回避しつつも秋らしいおしゃれを楽しみたいということ。そんなワガママな気持ちを満たしてくれる方法を私たちはいつも探っています。そしてここ数年で提案されているその打開策は、夏の終わり、いいえ、そこだけでに留まらず、真夏でもこっくりとした秋の色やレザーやスエードなどの冬のアイテムと思われているものを投入する着こなしです。

 今年はとくに春夏でもレザーやスエードアイテムが目立ちました。本来レザーやスエードでつくられたアイテムは、秋冬のスタイリングに合わせることが圧倒的に多かったはず。けれど、数年前から、例えば真冬のコートスタイルに夏を連想させるかごバッグを合わせてみたり、夏のTシャツスタイルにあえてレザースカートを合わせてみたり。そんなコーディネートがじわじわと浸透し、今ではたくさんのブランドがそのような着こなしの提案をしています。先日伺った、某ブランドの2021年春夏の展示会では、ベロアのパンツにTシャツやタンクトップを合わせるというコーディネートが提案されていました。素材的にはウェーブタイプに似合う生地なので、マニッシュな要素を入れたいけれど、フェミニン一辺倒な着こなしになりがちというウェーブ体型の人にはぜひトライしてみてもらいたいスタイリングです。

 このように、今や季節感を気にするなんてナンセンス。夏素材と冬素材という区別をやめることで、着こなしが格上げされることは間違いのない事実で、取り入れることで、一瞬でモードなエッセンスが宿り、季節の狭間を軽やかに乗り切れるのです。もっと言えば、真夏でもそのようなものを取り入れることで、こなれた印象をまとえるというもの。
そして、各骨格タイプのコーディネートを考えるときにいつもぶつかる壁、たとえば、ストレートタイプは〝正統派でシンプルなものが似合う〟というのを突き詰めてしまい、コーディネートが真面目過ぎるものになって、ひと昔前の着こなしになってしまう…とか、ウェーブタイプは似合うものが可愛らしいものが中心だから、ハンサムに寄せるのが難しい…とか、 ナチュラルタイプは今のトレンドに似合うものが多いので、選択の幅は広いけれど、女性らしく仕上げるのに苦労する…というような悩みを解決してくれるのが、先ほど挙げたレザーやスエード、かごバッグを代表とする〝あいまいアイテム〟や〝あいまいカラー〟を投入するテクニック。
たとえば、ストレート体型のコーディネートで、ジャストサイズのTシャツとタイトスカートを合わせるとき。秋色のニュアンスカラーのTシャツをセレクトし、タイトスカートの素材をレザーにしてみる。すると途端に今年らしくなるだけでなく、秋の雰囲気も。冬の素材をあえて暑い時期に持ってきたり、スモーキーなカラーやこっくりとしたカラーをコーディネートに取り入れる。ただそれだけで〝暑いけど秋を楽しみたい〟が叶うだけでなく、洒落感をまとえるのです。

このテクニックはもちろんどの骨格タイプにもはまるものなので、まだまだ残暑が続くこれからの時期にぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。私たちのコーディネート力がまたひとつ、アップデートされるはずです。

 

 

気配は秋だけど、まだまだ暑い季節は、毎年ベージュやブラウンのタンクトップ、カーキのシャツなどが大活躍。がしがし洗えるところも頼もしい!

 

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棚田朋子

神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟

光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。