ファッション誌に携わっていると、自分自身のオシャレ計画がやや早く進む感覚があります。それは23カ月ほど先を見据えた着こなしを提案するのがファッション雑誌の常だからというのが大きな理由なのだと思います。

 たとえば、夏真っ盛りの今現在、絶賛秋号を製作中です。そしてもうひとつ、次の季節が来る前に着たいものリストをずらりとラインナップしたくなる、せざる得ない理由があります。そこに大きく関わってくるのは、シーズンごとに開かれる、アパレルブランドの展示会という存在。
これは各ブランドがバイヤーやスタイリスト、ファッションプレス関係者に次の季節に展開する商品をお披露目する場で、私たちライターやエディターも伺わせてもらいます。雑誌の企画を考えるにあたって、「展示会の情報だけが頼り!」 ということではないのですが、次のシーズンのファッションコーディネートなどのヒントの大部分を教えて頂けるので、そこに足を運ぶことはすごく大切です。そして、プレスやデザイナーの方々から教えて頂いたことと読者のライフスタイルなどを総合して、秋に役立つ企画を考えます。これから暑さが本番! という時期に今年の冬のコートについて考えたり、真冬のスタイリングに思いを馳せたり。こんな具合で、毎シーズン、季節をだいぶ早送りする瞬間があるわけなのです。

 こんなふうに毎回真剣にちょっと先の着こなしについて考えるのですが、いざその時期がやってくると、あのときの気分とはちっともリンクしていなかったりすることも。本当に女心の移り変わりは早いものです。だから、結局一度も袖を通さずに終わる服も多かったり…。とはいえ骨格診断と出会ってからはそんなこともだいぶ少なくなりました。トレンドを見つつも、「これはストレート体型の人が似合うな」とか「今季はウェーブ体型の人に似合いそうなものがたくさんだな」「このロマンティックムードのトレンドをナチュラル体型に似合うようにするには…?」というような感じで冷静に似合う・似合わない、もしくは似合わせの方法を探っていき、皆様にお伝えするのが私の仕事ですし、そのように見る癖のようなものがつきました。

 ちなみにこの〝トレンドより着心地が大切〟というような思考は骨格診断アナリストだからというよりライター・エディターであるということの方が大きいと思います。コロナウィルスによる自粛の結果、「あれ、なんか洋服を買う必要なくない?」と思う人々がぐんと増え、トレンドよりも〝いかに着心地が良いか〟〝いかに自分に似合うか〟のほうに関心がある人が顕著になってきたように思います。もちろん、時代遅れのスタイルはしたくはないし、流行を取り入れたくないわけではないけれど、着ていて心地よくて、〝自分らしい〟が叶う服のほうがずっと大切だと思っている人がぐんと増えました。それが多くの人々の関心ごとなのだとは理解していますが、とはいえ、せっかくなので、お招き頂いた展示会で得た知識を皆さんにお伝えさせてください。この秋冬は、〝ブラック〟とか〝ウィンターパステル〟とか、〝クラシック〟〝チェック〟〝エコレザー〟などなどが注目アイテムですよ!

 ここまで〝トレンドより着心地・自分に似合う服のほうがやや優勢〟と書いてきましたが、私が今回のコラムでお伝えしたかったのは、〝着心地〟や〝自分に似合う〟を体現しつつもほどよくトレンド感をまとえる方法についてです。今年それを叶えるのなら、数年前からジワジワきているヘアアクセに頼るのが正解です。とくに〝カチューシャ〟は私のイチオシ。ハイブランドのコレクションの写真を見ていると、2020年のAWのパリコレでは、ディオールはプリント柄のスカーフを頭に巻いたモデルが登場しているし、シャネルは特大の大きなリボンがあしらわれたカチューシャをつけたルックが目を惹きます。そのほかにも数年前からハイブランドはさまざまなカチューシャを登場させていますし、2019年のオフランウェイでもファッションホリックの皆さんがカチューシャをすっかりモノにしているスナップ写真がたくさん。

 私が絶対に手に入れたいと注目しているのは、ハイブランドのものより手に届きやすく、日常に昇華しやすいブランドのもの。TOMORROWLANDやPlage、Stunning Lureなどでも取り扱いのある、SOPHIE BUHAI(ソフィーブハイ)という、LA出身の女性デザイナーのソフィーブハイ氏が手掛けるジュエリーブランドのカチューシャです。こちらのブランドに代表される、程よいボリューム感と彫刻的なフォルムのシルバージュエリーも魅力的だけれど、ヘアアクセも本当にモダンで素敵。大人があえてつけることでぐんと洗練されて見えるので、みなさんもぜひチェックしてみてください。 マスクが必須な今だからこそ、ヘアアクセがあると、着こなしの幅が広がりそうですよね。すっかり長くなったおうち時間、自分の骨格に似合うヘアスタイルを模索してみようと思います。

往年の女優たちのカチューシャスタイルを見ながら、秋冬の着こなしを考える最近。生地屋さんでベロアなどのリボンを太さ違いで購入し、一つ結びした髪にぐるぐる巻き付けてみたりと色々試すのも楽しい時間です。

 

 

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棚田朋子

神奈川県出身。愛称は〝ティナ〟

光文社CLASSY.やJJなどを中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断アナリスト協会(ICBI)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格診断アナリスト〟としても活動中。